ReLoad

RELOAD vol.011

RELOAD vol.011
2009年、9.11 に創刊?というか、初投稿をおこなった、ミリブロ オフィシャル・コンテンツ 「Reload」。当初こそ、この Reload は、1/6 ミリタリー・フィギュアから始まり、サバゲーマー向け装備解説だったが、回を重ねる毎に、自衛隊と米軍による共同演習レポートへの取材など、その内容が飛躍し、取材・編集する側もステップアップしている感触を掴んできた。

今回この 「Reload」 が、日本を離れて、初の海外ロケ敢行となった。ミリブロ創設当初からの熱心な読者の方らならご存知の通り、その昔には、香港・台湾のメーカー、ショップ巡りをレポートしたことがあるが、今回はフィリピン、セブ島と、訪問国が異なり、内容も 実銃射撃レポート と、少し趣を変えた内容でのお届けだ。

フィリピンは、正式には「フィリピン共和国」となり、英語では "Republic of the Philippines" と記されている。日本では一般的に「フィリピン」で通っているので、ここでも「フィリピン」で統一しておこう。せっかくの海外ロケなので、少しくらいはフィリピンについて知っておくのも良いだろう。ということで、フィリピンの概要について触れてみよう。
フィリピンは 7,000以上の島々で構成されている 島国 だ。日本の外務省のホームページによると、正確には、7,109 という、かなりの数の島により国家が形成されていることになる。そして フィリピンの人口は、9,400万人。日本の人口が1億3,000万人程なので、日本の人口には及ばないものの、この数字を見ると、想像していた以上に多いと感じる方も多いのではないだろうか。

さて最近のフィリピンに関する話題といえば、南沙諸島(スプラトリー諸島)での中国との話題が最も印象深い話題ではないだろうか。南沙諸島で海洋資源を巡る中国からの恫喝ともいえる、暴挙の数々に脅かされている様子は、日本でも度々報道されるようになったので、ご存知の方も多いだろう。

フィリピンが、7,000以上の島で構成される島国であれば、同じ島国として知られる日本は、ちなみに一体どの程度の島によって構成されているのだろうか?答えは日本の場合、フィリピンには少し及ばないものの、実に 6,852 の島があると言われている。 そもそも、「島」には大小様々なものが存在するわけだが、この場合の「島」には、海岸線の長さが100m以上 あるものに限定してカウントしているそうだ。

それでは、"島" とは、いったいどのように定義付けされているのだろうか?調べてみると、「国連海洋法条約」の "第121条" において、「島」の定義が明文化されている箇所がある。そこには、「島」とは、「自然に形成された陸地であって、水に囲まれた高潮時においても水面上にあるもの」とされている。

記憶にも新しい、尖閣諸島沖での中国漁船による、不法侵入事件では、海保の巡視艇に対して体当たりするという、蛮行 があったわけだが、その時にニュース番組でも連日のように登場していたキーワードに「領海」や、「接続水域」、「排他的経済水域(EEZ)」といった単語がある。これらも全て 「島」 を1つの基準としてみなすことから始まるので、海洋国家 日本の国民であれば、知っておいても損にはならないだろう。

「領海」 は、島と海との境を 「基線」 と定め、その "12海里" の範囲を指し、更にそこから "12海里" を 「接続水域」 と定める。つまり、「領海」+「接続水域」=24海里だ。また国際的にも非常に重要な境界線となる、 「排他的経済水域 (EEZ:Exclusive Economic Zone)」 もこの「基線」から測り、先程の「領海」、「接続水域」 を含めて基線から "200海里" と定められている。

南沙諸島 における中国の政治的、軍事的な応対については、先日 日本の防衛省が発表した "防衛白書" でも表現されている通り、非常に "高圧的" だ。この 高圧的 な中国を渦中にし、南沙諸島を舞台とした熾烈な領有権を巡る争いは、フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾といった関係国、関係地域のみならず、決して日本も他人事ではないはずだ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
フィリピンでは、 フィリピノ語 と 英語 が 公用語 とされているが、80前後の言語があるとされている。多くは英語が通じるので、日本人でも片言(かたこと)の英語が話せれば、何となく意味は伝わっているので、まだ安心だ。

さて今回は事情があって、関西国際空港からの出発ではなく、成田からの出国となり、セブ島への直行便に乗り込んだ。セブ島のイメージで、一般的に真っ先に思い浮かぶのが、観光地としてのセブ島ではないだろうか。

大東亜戦争(太平洋戦争)当時、隆盛を誇った日本軍はこのセブ島にも上陸・占領をおこなっているが、戦況の悪化と共に、セブ島の東隣に位置する、レイテ島での敗戦の勢いのまま、米軍により奪回されてしまう。そういった点では日本ともゆかりの深い地である。

さて、セブ島へ到着した我々は、空港に到着するなり、観光地で賑わう方向とは間逆の方向へ向かった。道中は人・人・人。車とバイクと人でゴッタ返している。驚くことに、幹線道路のような大通りでも、車が途絶えることのない道路でも、信号を見掛けることが殆どない。全ては、ドライバーの判断によって道路の秩序が保たれているといった感だ。

そして道路で活躍する自動車の大部分は、日本製。トヨタや日産、ホンダなど、日本でもお馴染みのロゴが付いた車があちらこちらで動き回っている。稀にGMや現代(ヒュンダイ)、起亜(キア)といった韓国車を見掛ける程度なのだ。現地の人に訊くところでは、やはり日本車の性能が一番よく、何よりも壊れないというのが、選ばれる一番の理由だ。

東日本大震災の影響で、モノ造り大国、日本の影響力が低下しているのでは?との報道が一部でおこなわれたようだが、自動車や電化製品など、こうした世界の隅々にまで行き届き、モノ造りの側面で実質的な影響力を持っている「日本」。そのモノ造り大国としてのブランドイメージを是非、継続し、維持させていきたいと感じる。

RELOAD vol.011
さて、随分と前置きが長くなってしまったが、本題の実銃射撃のレポートへ話題を移そう。
今回、日本から遥々とフィリピン、セブ島へ来たのは、単に実銃射撃をしたい! という、編集側のわがまま(だけ)ではない。日本のサバイバルゲーマー、エアガンファンにはお馴染みの有名ショップ、「エチゴヤ」がフィリピン、セブ島で近日、実銃射撃レンジをオープンするという、ホットでビッグなネタをキャッチし、同行させてもらうこととなったのだ。

今回は、関係者のみの集まりとなり、まだプレオープンすら準備できていない状況であったので、レンジ自体の紹介は機会を改めてのご紹介となるが、周辺の雰囲気や、そのイメージをお届けできればと思っている。

というわけで、早速用意されたのが、こちら。撃ち尽くせねーよー! と、思わず言葉も汚くなってしまう程に大量の弾薬。遥々日本から取材に来るとの事で、今回は特別に大量の弾薬を用意して頂いた。その数、実に3,000発以上。弾を調達してくれた現地の方曰く、地元の銃砲店での買い付けの際に、「アンタ、戦争でもするのか?!」と。
サバイバルゲームで使う6mmのBB弾でも、1日使ってこれほどの数を撃つことは、早々あるものではない。もちろん、写真はそのごく一部のみだ。357マグナム、45口径といったピストル用の実弾から、6ゲージのショットガンといったご覧の通りのものから、後述にもまだまだ様々な銃器と、その実弾をご紹介していこうと思う。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
こちらは 357マグナム、45口径、22口径の実弾。

RELOAD vol.011
こちらが今回お世話になった、射撃レンジ。上述にもお伝えしている通り、もちろん正式な射撃レンジではない。

RELOAD vol.011
用意された紙のターゲットは、無数の弾丸に晒され、ボロボロになる。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
こちらが、射撃レンジ周辺の土地を所有するオーナー。とにかく底抜けに明るいキャラ。御年すでに・・・非公開・・・だが、全くその年齢を感じさせない若々しく、エネルギッシュなオジサマだ。氏が持つのは、一般的に "トンプソン" として日本でも有名なクラッシクガン。この日集まった、セブ島を代表する "富豪" の中に、第二次大戦で米軍の使った銃器のコレクターが居り、その方からお借りしたものだ。
銃器の愛好家というものは、古今東西 お金持ちが多いのは仕方の無いことかもしれない。数あるコレクター、趣味の分野でも、「お金が掛かる趣味ランキング」というものを作ったとしたら、銃器愛好家というものは、かなりの高い位置付けに来るであろう。

さて、こちらのコレクションを所有するコレクター氏は、とにもかくにもそのコレクションの質・量ともに半端なものではない。WW2で登場した歩兵が携行する銃器は、ほぼ全て網羅しているとのことだ。ライフル、ピストルの類(たぐい)であれば、稼動品としてコンプリート。そんなわけで、この日は、その極々一部でをお披露目して頂いた。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
さて、まずはこちらの トンプソンの細部を見ていこう。こちらの銃について、真っ先に目に入ってくる情報としては、チャージングハンドルの位置が上部にあるという点になるであろう。また、バレル周辺にはトンプソンの形状を決定付ける要素の1つ、放熱板も無く、コンペンセイターの形状も古い。外観上の判断からは、いわゆる "Wartime Production" = "戦中モデル" に代表されるような型式とは細部が少しずつ異なるなどの点から、こちらは "Thompson Model 1928A1" をベースにし、幾つかの同型式のものからのパーツ取りによって構成されているようにも思える。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
続いてこちらは、日本でもエアガンでお馴染みのショットガン、S.P.A.S. (Special Purpose Automatic Shotgun) 。エアガンの場合は、東京マルイ社、KTW社からモデルアップされている。当然だが、エアガンと思って持ち上げてみると衝撃的な重量感を感じ、実銃の持つその潜在的な破壊力を直感的に理解することができるだろう。

RELOAD vol.011

さて、ここからは写真メインで実銃射撃の様子をご紹介していこう。
先程のSPASを携えるのは、Volk Tactical Gear 代表。今回は一緒に同行して頂いた。VOLK Tactical Gear では、実銃射撃を通じて、自社製品へのフィードバックさせていくことに注力していきたいとのことだ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011RELOAD vol.011
フォールディング・ストック SPAS の外観上で最も特徴的なのは、やはりこのストック部分。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
写真のような一連の操作で、折り畳んだ状態からストックを展開させることができる。

RELOAD vol.011
セミオートマチックで作動する為、トリガープルのみで次々と次弾の発射が可能。ショットガンでの衝撃は、想像以上に強烈なリコイルを伴う為、ストック部への頬付けは、慣れが必要だ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
こちらはエチゴヤ 海外通販部のカッシーノ氏。フィリピン出身の氏は、ガイド・通訳的な役割で様々なシーンで有り難い存在であった。既に何度もこのレンジを利用しているだけあり、ショットガンでの射撃も実に慣れたもの。

RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
この日集まったフィリピン現地の方は、いずれもセブ島を代表する銃器愛好家ばかりとあって、普段からかなりの射撃経験を積んでいる。

RELOAD vol.011
SPAS の次にご紹介するのは、マイクロ・ガリルだ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011RELOAD vol.011
イスラエルの銃器メーカー、IWI (Israel Weapon Industory:旧 IMI、Israel Military Industries) 製のマイクロガリル。こちらの写真のものは、バレル長は7インチと短く、ハンドガードがレール仕様となってのが特徴的だ。使用するカートリッジは、5.56mm となるので、M4 との互換性はあるが、ご覧の通りマガジンの互換性が無い。
また、マイクロガリル最大の特徴は、左右のセレクターが連動する点にあるといえる。しかしながら実際に操作してみると分かるが、右側のセレクターを親指だけで動かすことは難しく、このセレクター自体が実用的であるかと訊かれれば、「否」と答えるしか他ない。
次に、こちらのモデルのストック部分に目を移すと、ガリルのストックには "栓抜き" 形状のものが付いているが、こちらのストックには付いておらず、クラッシックタイプ(初期型)から進化した形状のストックが取り付けられているようだ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
それではいよいよお楽しみの実射へ。
まずは、VOLK代表による、Micro Galil の射撃。35連マガジンの全弾を撃ち尽くす!
AK系統の銃と同様に、マガジンの挿入はM4のように単に押し込むのではなく、前方へ引っ掛けるようにしてから押し上げる必要がある。
マガジンの挿入が確実におこなわれたことを確認し、チャージングハンドルを引く。この時、射撃姿勢になるまでは絶対にトリガーに指を掛けない。これは実銃、エアガンのどちらでも当たり前のことだが、意外と出来ていないことが多く、意識してやらねば、身に付かない。

RELOAD vol.011
M4 での実射とは違い、短銃身となっている分、射撃時のリコイルが激しい。また、M4が右横方向へ空(カラ)となった薬莢を飛ばすイメージなのに対し、マイクロ・ガリルでは右前方へ強く飛ばすようなイメージとなる。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
そして、もう1マガジン。
撃ち尽くしたマガジンを放り捨てて、新たなマガジンへとチェンジ。そしてチャージングハンドルを引いてマイクロ・ガリルの "体内" へ給弾させ、トリガーへ指を掛ける前に一旦周囲を見渡し、周囲に危険が無いかを確認してから、いざ実射へ。

RELOAD vol.011

RELOAD vol.011
日本のエアガンマーケットでは、長モノ のガスブローバックモデルが次々と登場し、トイガンでもリコイルという新たなギミックを楽しみながら射撃がおこなえるよう、選択肢がまた1つ増える格好となった。

その際に、ガスブローバック式のエアガンですら、銃のホールドをしっかりしなければ、連射の際に振られたり、ブレてしまうという体験をしている方も多いだろう。そうしたガスブローバックガンでの射撃の際に、しっかりとした射撃姿勢を身に付けていると、実銃射撃の際にも十分活かすことができるはずだ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011RELOAD vol.011
左から、Glock26、Glock(詳細不明)、BENCHMADE(ベンチメイド)製の飛び出しナイフ。
BENCHMADEのナイフは、両刃で飛び出し式となっているので、日本では所持することができない。

RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011

RELOAD vol.011
こちらは先述の WW2 銃器コレクターが持ち込んだ、M1 ガーランド。エンブロック式クリップ による装弾を採用。弾丸8発を束にまとめたクリップごと差し込み、装弾する。映画などでもお馴染みの、独特の金属音と共に、最終弾の排莢と同時にクリップが排出される。
使用弾薬は30口径の06年型を意味する、".30-06" スプリングフィールド弾 (7.62mm)。

RELOAD vol.011

続いてこちらはレンタルさせてもらった M4。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011RELOAD vol.011
先端には Noveske KX3 風の自作だろうか、ハイダーが取り付けられ、レールには、Knight's Armament Co., 製の RAS フリー・フローティング・バレル 10.0" 、ERGO グリップ、そして TROY 製 フロント・リアサイトは OD に塗装している。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
カッシーノ氏が M4 に取り付けているのは、カメラメーカー Kodak から発売されたばかりの "Playsport 2" 。耐衝撃性に優れた小型カメラとして幅広い層からの人気が高く、この日集まったフィリピンのガンマニア達から熱い視線を受けるのであった。

RELOAD vol.011
次から次に響き渡る銃声。その分、弾の消費も激しく、ひっきりなしに弾込めの作業がおこなわれた。当然だが、実銃マガジンの場合、BB弾のそれとは違って、マガジン内部にあるバネが強いので弾を込める作業も、慣れている人でも結構な重労働になってくる。

RELOAD vol.011
そしてフルロードとなったマガジンを、撃って撃って撃ちまくる!
単に撃つだけでも、実銃の反動を殺しながら、コントロールした状態で撃つことは、意外なくらいに疲労感を感じる。初めて実銃射撃をする人ならば尚更、その緊張感も相まって疲労感を感じるだろう。

RELOAD vol.011
そしてこちらは、火を噴く M4。Flash ハイダーから分散される炎の様子も綺麗に写り込んでいる。

RELOAD vol.011
射撃の度にこうした高熱の炎が吐き出される為、バレルはもちろんのこと、ハンドガード周辺も、かなりの高温になる。実銃用途として造られたアクセサリー類であれば、当然にしてこのような高温での状況下の使用を想定しているので、耐熱用の素材を使用しているが、エアソフト用として造られたアクセサリー類はこの限りではない。
その為、海外の実銃関連の話題を取り扱うフォーラムでは、エアソフト用として造られたアクセサリー類を実銃用途として誤って使ってしまい、思わぬ事故やトラブルとなってしまうというケースが絶えないという話題が多く確認できる。

RELOAD vol.011
トリガーと連動した撃針(ファイアリングピン)が雷管(プライマー)を物理的に叩き、薬莢(ケース)内に発射薬(パウダー)として詰め込まれている火薬が燃焼。その後、猛烈な勢いで押し出された弾頭部(ブレット)がターゲットへ向けて飛翔する。これが簡単な射撃のメカニズムとなるが、この一連の動作が、ほんの僅か、一瞬の中で起きる。
こちらの写真では、カートリッジ内の火薬の燃焼に伴って、真っ赤な炎がススなどと共に、ハイダーから吐き出され、粘性の高い炎として飛び散る様子が写し出されている。また、射手の周囲に飛び出している空(カラ)となった薬莢の数からも、かなりの連射速度であることがお分かり頂けるはずだ。

RELOAD vol.011
コンパクトに構えて射撃するエチゴヤ社長。

RELOAD vol.011
長モノから切り替えて、ハンドガンでの射撃をおこなう VOLK 代表。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
スライドを引いて、1発目の給弾をおこなう。発射までの操作においては、実銃もトイガンも大きな違いはないが、エアソフトガンと違って、火薬による強烈なリコイルを生む実銃の場合は、トイガンと比較すると、スライドのバネの強さは半端無く強い。その為、ガスブローバックハンドガンの際によくやりがちな、親指と人差し指でスライドを摘んで(つまんで)引くようなやり方よりも、この写真のようにガッシリと掴んで引いた方が、より確実にスライドが引ける。このやり方は海外の実銃射撃レンジでも教えられており、「スライドを引く」というよりは「スライドを持って、銃を押し出す」という表現が使われることが多い。

RELOAD vol.011
何度も念入りに射撃をする VOLK 代表。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
実銃あってのトイガンであるが、トイガンでの射撃の際に、安全管理を常に頭の中に入れて一連の操作をおこなっていれば、その操作の殆どが実銃射撃の際にも通用する。慌てず、操作の1つずつを確実に。何か事故が起きた時、「ゴメン!」では済まないのが実銃なのだから・・・。

RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011RELOAD vol.011
オーバル・ホール・ハンマー (Oval Hole Hammer) に、Novak サイト、アンダーレイル、ビーバーテイルと、オーソドックスなシューティング&コンバットカスタムを意識したガバメントでの射撃。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
こちらの写真の射手は、フィリピン軍の現役兵士にして、ガンスミス。左右の写真は一見すると同じ銃のように見えるが、異なるものとなり、その2つの違いを撃ち比べている。
左の写真では、上下左右に調整可能な "BoMar" のリアサイトを搭載したシングルスタッグとなり、右側のものでは Novak のサイトが搭載されているのがお分かり頂けるだろう。共にアンビセイフティー仕様となっている。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
エチゴヤ社長が射撃するのは、Smith & Wesson 4inch リボルバー。357マグナムは、非常にマイルドな撃ち心地だ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
こちらの仮レンジでは、オートによるバリケード越しの射撃や、リボルバーによる射撃などなど、射手のスタイルに合わせた様々な環境が用意されている。

RELOAD vol.011
射撃の合間に用意された食事。 「 "ジャングルスタイル" で食事をどうぞ」、と言われて通されたのがこちら。ガッツリと食事を摂るというよりは、ちょっと小腹が空いたので頂くといった感じ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
ローストポーク に ハム 、 ウィンナー と、炊きたての 白いご飯 が用意された。ローストポークは妙に新鮮な肉であった。ちなみに、射撃スペースの脇には豚小屋だ・・・。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
フィリピン現地の方によれば、ここで言う "ジャングルスタイル" とは、「箸やスプーン、フォークといったものを使わず、ワイルドに手で食べるスタイルのことだよ」と笑いながら教えてくれた。
普段、箸やスプーン、フォークと言った道具を使うことに慣れているせいか、炊き立ての白米を摘むのは、熱くて中々に難しい。
そして、「射撃をしないのであれば、是非これも呑んでみてくれ!」 と出されたのがこちらの写真にもある "Tuba Tacloban Bahalina" と書かれたボトルに入ったお酒。酸味が強く、お酒というよりはどちらかというと "お酢" に近い味だ。コーラを先に口に含み、その後にこのお酒を口にするのがこのお酒の "通" な嗜み方(たしなみかた)なんだとか。

RELOAD vol.011

笑顔がとっても可愛いこちらの女の子。食事の用意を手伝ってくれていた。純粋無垢なその瞳に吸い込まれそうだ。

さて、ここまで実銃射撃の模様をお届けしたが、今回の射撃自体は、実際には2日に渡っておこなっている。この2日で消費した弾の数は、1,500発以上。さすがに1人でというわけではないが、これだけの数の弾を撃つことは、そうそう無い経験であろう。日本の国土防衛を主務とする自衛隊員の皆さんが、年間に撃つ弾の数と比べると、相当な数になる。


そして、肝心のセブ島シューティングレンジの本番版はというと、今回ご紹介した仮状態の射撃場から程近い場所に、正式な射撃場を現在急ピッチで建設中だ。こちらの射撃場では、もちろん一般の観光客による射撃も可能となる。

日本からは飛行機で約4時間半とアクセスも良く、時差は僅か1時間。時差ぼけの心配も無い。そして何よりも観光地として既に確立されているセブ島にあるというロケーションは嬉しい限りだ。
更に、セールスポイントは、実銃射撃の初心者から、バリケード越しでの射撃やドリルなど、本格的な射撃を追及する人など、様々な要求レベルに応えることのできる点となり、まさに理想的な射撃場といえる。
RELOAD vol.011
Gun Shooting in CEBU

こちらの実銃射撃レンジに関する詳細については、エチゴヤ公式サイトまたはミリブロ内のエチゴヤBlogにて発表がおこなわれるので、そちらをお待ち頂きたい。

RELOAD vol.011
さて、今回の旅の目的は、もちろん第1にエチゴヤ実銃射撃レンジの視察であったが、更にもう幾つか訪れておきたいところがあった。ここから先は実銃射撃レンジ以外の話題をお届けしよう。

まずは、こちらがその訪れてみかった箇所の1つである、エチゴヤ御用達のカスタムパーツ製造工場。エチゴヤというと、ショップとしての側面がクローズアップされがちだが、最近では自社オリジナル製品の開発にとても積極的であるということをご存知だろうか。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
ミリブロ内のエチゴヤBlog では、そんな自社製品のリリース状況がつぶさに報告されているので、是非チェックしておいてもらいたい。
エチゴヤ秋葉原店Blog
エチゴヤ新宿店Blog
エチゴヤ北九州店Blog

また、既にチェック済の方も居るかもしれないが、エチゴヤで近日リリース予定となっている期待の新商品、東京マルイ製 次世代電動ガン M4 対応のオリジナル・レシーバーも、実はこちらの工場で製造されている。
ただし、今回はその製造過程の模様も見学させてもらったが、残念ながらそちらの公開はNGだ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
フィリピンの中でもセブ島は、リゾート地に代表される観光業や家具などの製造業と、それらから派生する複合的な小規模商業によって経済活動をおこなってきたが、ここ近年においては政策転換によって、情報通信やソフトウェア産業の盛んな地域へと変貌を遂げてきている。

また、"世界の工場" として発展を遂げてきた中国を例にすると、その国民性による製品精度のムラや、国際関係における不安要素などでタイムスケジュールへの疑念があるなど様々な難点があるが、フィリピンの場合は、人件費は中国製品ほど安くないものの、日本製の精度の高い工作機器を導入し、クオリティーの高い製品を製造するとのことで、大手メーカーの下請けを担う工場も多く存在し、工業立国としても徐々に発展してきているとのこと。

RELOAD vol.011
若く、優秀なスタッフが集まるこちらの工場では、製造を担当するエリアと、専任のスタッフが常駐するパソコンルームで設計をおこなうエリアと分けて配置している。

エチゴヤでは、既にエアガン用パーツの製造において トン単位 で金属材料の買い付けをおこなっており、現在こちらの工場で次なる新商品を鋭意製造中だ。気になるその新商品が何であるかは、続々と公開予定なので、お楽しみにお待ち頂きたい。

RELOAD vol.011
工場見学を終え、向かったのはショッピングセンター。
こちらの写真ではショッピングセンターに入る際に、セキュリティー・チェックを受けている様子をご紹介している。フィリピンでは銃による犯罪が極めて多い。その為、外国人が多く集まるショッピングセンターなどでは、こうしたセキュリティー・チェックがおこなわれることが多い。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
ショッピングセンターの入口には、銃を預ける簡易ロッカーがあるので、入場の際には預ける必要がある。
日本では当然、目にすることの無い光景だ。日本でエアガンをショッピングセンターの受付で預けようとしようとしたもんなら・・・、想像しただけで大変な事になる。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011RELOAD vol.011
ショッピングセンターを後にし、続いてあるところへ向かった。向かった先は、とある個人宅。実は、実銃射撃の際に、今回レンタルガンとして多くの実銃を提供してくれたフィリピン人銃器愛好家の自宅へ招かれていたのだ。
決してお世辞にも生活水準の高い国とは言えないフィリピンにおいて、数多い趣味の中でもお金の掛かるランキングで上位に食い込むであろう実銃愛好家という、"道楽" をできるのは、並大抵のものではない。
到着した自宅には、お手伝いさんが何十人も居り、自宅も到底、民家には見えない佇まいのお屋敷となっている。想像通りだ。
そして、お金持ちには 付きもの の自動車のコレクションも凄い。世界中の名立たる車が、広い敷地のガレージのあちらこちらに置かれている。 "ハマーは持っているか?" と訊ねると、 "ハマーは「全部」持っている" との答えが。「全部」・・・?、一瞬理解に苦しんだが、質問を続けると、どうやらハマーは、H1、H2、H3 と、全てを持ち合わせているとのこと。残念ながら、今回見せてもらったガレージとは違う場所にそのコレクションがあるとのこと。まるでミニカーを集めているかのような感覚なのかもしれない。

さて、そんなセブを代表する "富豪" の氏が持つ実銃コレクションを拝見した。
まずはこちら、 AIM 。オーナー自らの、特別な説明を我々も受けた訳ではないが、拝見したその形状から ルーマニア製 AIM であると考える。セレクターがセミオート仕様となっているが、民間モデルとは一概に言い切れない。マガジンは中国製のものとなっている他、先端に取り付けられているのは、本体同様 ルーマニア製の AKM タイプ用 ライフル・バヨネット だ。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
Glock がお気に入りの氏は、Glock 26、Glock 17、Capian 仕様の Glock 、Gen.4 Glock 17 などなど、複数の Glock を所有している。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
写真左は、コルト社の38口径、2インチ、小型リボルバー、ディテクティブ(ディテクティブ・スペシャル)。装弾数は 6発 となっており、写真のものには、ハンマーガードが付いているのが分かる。

写真右は、Smith & Wesson の SW M60 チーフ's スペシャル。口径は38スペシャルとなっている。Smith & Wesson のリボルバーでは、ナンバリングが「6」で始まる場合、ステンレスタイプを指すことが多いのが特徴。写真のものと同型で黒だと "M36" となり、日本の警察でも使用している "ニューナンブ" の原型となる。
また、左の写真の Colt Detective Special が標準的な "サービスグリップ" となっているのに対して、写真の M60 Chief's Special では、"Pachmayr" 製 の ラバー製 グリップが トリガーガード にまで覆い被さった(おおいかぶさった) "オーバーサイズグリップ" となっていることが分かる。これは射手の好みによって取り付けられている。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
左の写真は、 ".45 ACP" を使用する S&W のリボルバー "M625"。グリップには "Hogue" のものが取り付けられている。

そして右の写真は、日本でもお馴染みの UZI。こちらは、小型のUZI で、セレクター付近をよく見ると、セミオートしか用意されていない。その為、 "マイクロUZI" を セミオート射撃のみ にした民間モデル "UZI ピストル" となる。写真のマガジンの装弾数は32発。
マイクロUZI では、フルオートが可能で、フォールディングのストックが付き、それよりも一回り大きなものが、Mini UZI となり、フルサイズのものが UZI となる。

RELOAD vol.011
ナイフのコレクションも多く持つと言う。こちらは、中でも氏がお気に入りの "Glock 81" というナイフ。一般的に、銃器メーカーがモデルナンバーを割り当てる際、銃は銃だけで共通したナンバリングが振られる。そしてナイフのラインアップがある時は、別の法則の下でナンバリングをするのが通例だが、Glock社 の場合は、銃とナイフが混在して連番となっているのが特徴。
型式からどんなものであるか、特定しやすいと言えばそれまでだが、どのモデルが何という型式だったかを、覚えることが難点となる。

RELOAD vol.011
Vltor SOCOM M14。
RELOAD vol.011RELOAD vol.011
Weapon Light や IR モジュール、光学機器やフォアグリップなどなど、現代戦で活用されることの多い様々なデバイスを用途に応じて取り付けられるよう、拡張性が高められている。また、Vltor 製品 を代表する傑作ストックの EMOD ストックが Assy で取り付けられており、射手の好みに応じて調整することが可能となっている。まさにモダナイズされた M14 といえる。

RELOAD vol.011
M16A1。
RELOAD vol.011RELOAD vol.011
かなり古い年代のものを手に入れたとの説明を受け、「旧タイプの M16」 として紹介されたこちらの銃、いわゆる "無印" の M16 ではなく、 "フォワードアシストノブ" 付きの M16A1 である。

RELOAD vol.011
H&K UMP。マガジンの形状に注目。
RELOAD vol.011RELOAD vol.011
RELOAD vol.011
日本でも有名な、Heckler & Koch 社の UMP 。一般的に日本で "UMP" といえば、45口径 版を想像するが、こちらはマガジンをご覧の通り、 9mm 仕様となっている。
HK社の銃器は、全てにおいて精度が高いとして人気があるが、お値段もそれなり以上の、高価なものとなっている。

RELOAD vol.011
Mossberg M590 Shotgun。
RELOAD vol.011RELOAD vol.011
こちらのショットガンには、M4 のように、Vltor MOD Stock が取り付けられているところに、まず注目が集まるだろう。実はこれ、ストックだけでなく、"Shock Absorber" との Assy となっており、ストックチューブ内にスプリングが施され、ショットガンの射撃時に発生する激しいリコイルを和らげるような仕掛けとなっている。
この場で特に説明を受ける機会が無く、帰国してから写真を整理しながら確認したため、写真にある情報だけでの判断となるが、こちらの写真のモデルでは、恐らく "Mesa Tactical" 製の "Low Tube Stock Kit" を取り付けているものと思われる。
あまり拡張性が無いと思われがちなショットガンだが、こうしたストックASSYや、ショットシェルホルダー(ショットシェルキーパー)だけでなく、日本ではあまり有名ではないメーカーが、意外と様々なアクセサリー類を提供しているので、興味のある方は是非、ネット上での検索に勤しんでもらいたい。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
最近購入したばかりという、こちらの Glock 17。マガジンには弾込めを容易にするための "ガイド" が付いている。


一通りのコレクションを拝見している最中、その場は銃器談義で大いに盛り上がる。国は違えど、言葉は通じなくとも、趣味としている者同士が集まると、話題が尽きることは無い。

RELOAD vol.011
一旦、先程の豪邸を後にし、続いて向かったのは別のフィリピン人銃器愛好家のご自宅だ。
そこでは腹も空いたことだろうと、夕飯の準備をして、もてなしてくれた。
通された部屋に入ってすぐ目に入ったのがこちら。油取り紙に包まれた謎の大きな物体がテーブルの中央に置かれていた。

RELOAD vol.011

ま、先程の写真で大よその見当を付けていた方も多いだろうが、こちらは 子豚の丸焼き だ。日本ではそう滅多にお目に掛かることも無い料理。子豚の丸焼き は、ここフィリピンでも、何か特別なお祝い事があるときにくらいしかやらない料理とのことだ。
日本では、最近は加工された食事が多く、原材料となっている動物や植物の姿を見ることがめっきり減った為か、こうして今から頂く命の姿を、まざまざと見せつけられると、「食料」としてではなく、「生き物」として見つめてしまう。

RELOAD vol.011
ものの10分もすれば、子豚の姿は原形を無くす程に食べ尽くされる。食料とは言え、中々に凄惨な様相となってしまったので、写真の上半分は自主規制でカットした。
そして、右手前に置いてある白い器の中にあるチョコレートのようなものは、子豚の血をペーストにしたものだ。特に何かの味付けをしているものでもなく、単に血を煮詰めただけのもののようで、現地のフィリピン人は一様に、これをカレーのように白米へ掛けて食べていた。
子豚の血であることを知らされずに、一口食べたが、味は生々しくも、血の味としか言いようの無い味である。そう、口中を切った時の味と何も変わらない・・・あの味と言えば、よくお分かり頂けるのではないだろうか。

そして最終日の前日、日本への帰国の途に着く準備で、ショッピングセンターを再び訪れることに。
RELOAD vol.011
低所得者層が集まる街中をタクシーで抜けると、急に、ショッピングセンターを中心に金融関係の入ったビルが並ぶ近代的な街並みが広がる。この落差が、フィリピンの実情を物語っているような気がしてならない。

実銃の所持に対する規制がゆるいフィリピンでは、銃を使った犯罪が多く発生する。フィリピン第2の都市としても知られる、ここセブ島は、フィリピンの中では比較的 治安が良い場所ではあるが、それでも金融関係の集まるビル周辺には、武装した警備員の姿があちらこちらで確認できる。

こちらの写真は、外資系銀行に出入りする輸送車の周囲を警戒する民間の警備員。手前の警備員は、M16A1 を携行し、奥の警備員は詳細は分からないが、ショットガンを携行している様子が確認できる。

RELOAD vol.011RELOAD vol.011
写真左の警備員も銀行の前で警備に当たっていた。こちらの警備員は、レミントン M870 らしきショットガンを携行している様子が確認できる。しかしよく見てみると、細部において Remington社 の M870 とは異なる様子から、フィリピン・メイドかどこかで製造された コピー品 であると想像される。

また、右の写真では、ショッピングセンターの地下駐車場へ入る車輌をチェックする警備員が写されているが、意外なほどにサラリとしたチェックで通される。

RELOAD vol.011
こちらは銀行の前に停車した輸送車。前方のドアの窓の下にある穴は、強盗に襲われた際、車内から応戦する際に利用される。穴から銃の先端を出して射撃するように活用されるとのことだ。この穴を活用して、名前の通り "FORTRESS" = 要塞 となるだろうか。


というわけで、今回お届けした 第11回目の投稿となる "RELOAD" 。初の海外、実銃射撃ツアーの模様を中心にお届けした。
日本から近場の実銃射撃といえば、グアムやサイパン、韓国などが名前としては先行している感があるが、是非その中にフィリピンも選択肢として入れてもらえるようになれば幸いである。

今回の撮影に当たって協力を頂いたフィリピンの銃器愛好家の皆様には、この場をお借りし恐縮だが、感謝の気持ちをお伝えしたい。

※今回の投稿では、ご覧の下記スポンサーによりお届けしました。
提供:
・GUN & Military ショップ エチゴヤ
 http://www.echigoya.co.jp/


・VOLK Tactical Gear
 http://vtg.jp/


PageTop